テクノロジー · 実用ガイド
Thunderbirdのローカルフォルダーが消えた? インポート前にmboxを監査する
読み取り専用のCSV台帳なら、唯一のコピーかもしれないプロファイルを変更せず、残っているデータを確認できます。

「ローカルフォルダーが消えた」という現象には複数の原因があります。Thunderbirdが別のプロファイルを開いている場合、古いプロファイルに拡張子なしのmboxが残っている場合、索引や不完全なIMAPオフラインキャッシュしか残っていない場合です。実態を確認する前に、稼働中のプロファイルへファイルを直接コピーするのが最も危険な初手です。
このガイドでは、インポートより先に範囲を限定した読み取り専用の棚卸しを行います。台帳には候補ごとの元プロファイル、ディレクトリ階層、サイズ、SHA-256を残し、実際のバイトから確認できる証拠だけを記録します。プロファイルの競合や宛先の同名衝突を検出したら、勝手に一方を選ばず停止します。復旧を保証せず、検査対象のコピーも変更しません。
実行可能な復旧判断には、どのプロファイルか、どのストレージツリーか、どの正確なバイト列か、どんな不確実性が残るかという出所の答えが必要です。台帳でmbox形式の候補、索引、階層コンテナ、空フォルダー、キャッシュだけのIMAP証拠を分けてから、最小で取り消せる手順を選びます。
元バックアップ、監査用コピー、CSV、スクリプトのハッシュを一緒に保存してください。身元が曖昧なままなら、統合せず保全します。慎重なインポートを遅らせる方が、唯一残ったメールストアを上書きするよりはるかに安く済みます。
先にコピーし、後で調べる。使用中のプロファイルは走査しない
収集を始める前にThunderbirdを終了してください。Mozillaの移行手順は、Thunderbirdを実行していない状態でプロファイルデータをコピーするよう求めています。プロファイル文書も、同じプロファイルを複数の場所から同時に開かないよう注意しています。候補となる各プロファイルディレクトリを通常のローカルディスクへ丸ごと複製し、元のバックアップは触らず、監査は信頼できるコピーだけに対して行います。
更新後にメールが突然消えた場合は、about:profilesで現在使用中のプロファイルのパスを記録するときだけThunderbirdを開き、その後もう一度終了します。別のプロファイルへ切り替わると、無傷のデータでも消えたように見えます。見つかったすべてのパスを記録し、ディレクトリ名や更新時刻だけで最新のものを正しい元データだと決めつけないでください。
ファイルが示せることと、示せないことを分ける
プロファイル内では、通常MailにPOPアカウントとローカルフォルダーがあり、ImapMailがIMAPアカウントに対応します。Thunderbirdは1つのmboxフォルダーを拡張子なしのファイルに保存することがあります。同名の.msfは再構築可能な索引で、本文の保管庫ではありません。.sbdで終わるディレクトリはサブフォルダー階層を表すため、対応するファイルと一緒に保持します。
ただし名前は手掛かりであって結論ではありません。空の拡張子なしファイルは元から空のフォルダーかもしれず、別の拡張子なしファイルは無関係なバイナリかもしれません。ImapMailに索引や一部のオフラインキャッシュしかないこともあり、その存在だけでサーバー上の全メールを復元できるとはいえません。この監査は形式上の証拠と不確実性を記録するだけで、各候補を安全に取り込めるとは断定しません。
上限付きの読み取り専用インベントリを実行する
付属のthunderbird_mbox_audit.pyをPython 3のあるコンピューターへ保存します。出力CSVはプロファイルコピーの外に置き、まだ存在しないファイル名を使います。スクリプトはシンボリックリンク、10,000個を超える元ファイル、既存レポートの上書きを拒否します。また走査の前後でバイト列、サイズ、ナノ秒単位の更新時刻、SHA-256を照合します。
実行例:python3 thunderbird_mbox_audit.py "/オフラインコピーのパス" "/新規レポートのパス/audit.csv"。MailとImapMailを走査しますが変更はしません。mbox形式のFrom区切り行を数え、その周辺に一般的なメールヘッダーがあるか確認し、SHA-256を記録します。拡張子なし候補と.msfを対応付け、.sbd階層を保持し、大文字小文字を無視した宛先キーで候補をまとめます。
CSVは証拠台帳であり、インポート命令ではない
各行が示すのは1つのパスの現状だけです。profile_rootは候補の元プロファイル、storage_treeはMail/Local Folders、POPアカウントツリー、ImapMailアカウントの別を示します。relative_pathとsbd_parentは階層を残し、size_bytesとsha256は、同名かどうかではなくバイト単位で同一かを判断する材料です。
mbox-like-evidence-not-proofは、少なくとも1つのmbox区切り行と、その近くに一般的なメールヘッダーが見つかったものの、手作業の確認が必要という印です。extensionless-no-mbox-evidenceは、拡張子がないだけで取り込めないことを示します。empty-extensionless-candidateは履歴確認が必要、rebuildable-indexは.msf、hierarchy-container-not-message-dataは.sbdです。same-destination-name-collisionは複数候補が同じ宛先名を要求している状態で、スクリプトは意図的にどちらかを選びません。
ローカルフォルダーとIMAPキャッシュの証拠を別々に判断する
Mail/Local Folders内にあり、妥当なmboxの証拠を持つファイルは、消えたローカルメールの有力候補です。別のMailアカウントツリーの候補も重要かもしれませんが、移動前にアカウントの由来を記録してください。ImapMailでは、実際にダウンロード済みの本文バイトと索引だけの残骸を分け、オフラインキャッシュが不完全な可能性を残します。サーバーのアカウントがまだ使えるなら先に照合し、キャッシュを完全な正本として扱わないでください。
.msfの行をメールとして数えない、非空のImapMail候補1つからサーバー上の総数を推測しない、見慣れたフォルダー名だけで異なるプロファイルを統合しない、という境界を守ります。同名衝突では両方のファイルとハッシュを保存し、それぞれのプロファイルとアカウントの由来を確定してから、取り消せる改名や別々のテスト取り込みを設計します。
証拠に応じて、最小で元に戻せる次の手順を選ぶ
使用中のプロファイルが違うだけなら、最小の対処はインポートではなく正しいプロファイルの選択です。完全で健全な旧プロファイルがあるなら、Thunderbirdを終了し、アプリのバージョン互換性を確認したうえでMozillaの全体移行手順に従います。一部のローカルmbox候補しかない場合は、使い捨てのテストプロファイルで作業し、Thunderbird文書にある正式なインポート境界の手前で止めます。診断中に使用中のLocal Foldersツリーを置き換えてはいけません。
元データの身元が曖昧、走査中にコピーが変化、同名衝突がある、唯一の証拠が.msfだけ、または完全性を確認できないIMAPキャッシュしかない場合は停止します。CSV、元コピーのハッシュ、スクリプトのハッシュ、元バックアップを保存してください。この監査は壊れたmboxのバイトを修復せず、重複メールを除去せず、未ダウンロードのサーバーメールを復元せず、Thunderbirdが候補を受け入れることも保証しません。
証拠判断表
観察した状態 | 判断を支えること | 証明できないこと | 最も安全な次の手順
about:profilesに別の信頼できるプロファイルがある — 別プロファイルを開いたためメールが消えたように見える可能性 — そのプロファイルが完全または最新であること — Thunderbirdを終了し、両方を別々にコピーして監査する
拡張子なしファイルに区切り行とメールヘッダーがある — 確認に値するmbox形式の証拠 — 全メールを解析できること、意図したフォルダーであること — ハッシュを固定して保存し、使い捨てプロファイルだけで確認する
.msfだけで対応する拡張子なしファイルがない — 索引ファイルは残っている — 本文バイトがローカルに残っている — 復元可能なメールとして数えず、バックアップかサーバーを調べる
.sbd内に子候補がある — サブフォルダー階層の証拠 — 親mboxが存在し有効であること — 階層を保持し、各候補を個別に監査する
ImapMail候補 — キャッシュに一部データが残る可能性 — サーバーの全メールがダウンロード済みであること — サーバーと照合し、完全なアーカイブとみなさない
宛先の同名衝突 — 複数のプロファイルやツリーが同じ論理名を主張 — どちらで上書きすべきか — 両方を保存し、由来確認後に別々に取り込むか改名する
よくある質問
.msfを削除すればフォルダーは復元しますか? .msfは本文ではなく再構築可能な索引です。関連するmboxがあればThunderbirdが索引を再生成する場合がありますが、索引削除で失われた本文バイトは戻りません。まずコピーを保存し、対応する拡張子なしの保存ファイルを探してください。
Mail内の拡張子なしファイルはすべてメールですか? いいえ。Thunderbirdのmboxは拡張子なしが一般的ですが、手掛かりにすぎません。サイズ、区切り行、ヘッダー、パスの文脈、目視確認を組み合わせます。スクリプトは証拠を示すだけで、有効性を断定しません。
使用中のLocal Foldersへ直接取り込めますか? 本番プロファイルを診断場所にしないでください。Thunderbirdを終了してコピーし、元バックアップを保持します。監査で由来と同名衝突を解決してから、使い捨てのテストプロファイルで選んだ候補を検証します。
ImapMailからサーバーで削除済みのメールを復元できますか? 確実とはいえません。IMAPプロファイルには索引、一部のキャッシュ本文、古いデータしかない場合があります。棚卸しはローカルの証拠を示しますが、完全性を証明せず、未ダウンロードのメールも復元できません。
